| シルバー・クロス ブローチ |
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初見ではオーストリアン&ハンガリアンの作品かと見誤る所でした。19世紀後期に作られたオーストリアン&ハンガリアンのジュエリーは、ルネッサンスの頃の物を真似て作られていますが、作品としてのクオリティーや、使われている宝石も良質でない物が多いのです。
この作品は、精巧な作りと、使われている宝石のクオリティーの良さ、そして作品の持っている品格から、只者ではない匂いが漂っています。
クラシカルなデザインと装飾様式で中世、ルネッサンスのジュエリーを再現した、間違いなく魅力的な一級品です。
まず、ベースになっているシルバーワーク見てください。隅々まで精巧作られており、クオリティーが 非常に高いことがわかります。
画像では平面に見えますが、実は全体に ⌒ のようにカーブが付けられていて、細く複雑なラインを正確に、そして表面の加工も、肉眼では分からない細部にまで及んでいます。これは見た目よりも随分難しく、高い技術が必要です。このクオリティーは現代ではとても再現できません。
中心とブローチの下にさがったパール。一見アイボリーのような色をしていますが、れっきとした真珠層のあるパール。おそらく、カワシンジュガイと呼ばれる(厳密にはホンカワシンジュガイ)貝から採れた淡水真珠だと推測されます。カワシンジュガイについて調べたところ、 **以下、05年国立博物館で開催された「パール」展の図録より**
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ヨーロッパでは、中世、ルネッサンス期には、スコットランド、ドイツ、スカンジナビア、ロシアの川底にびっしり生息する真珠貝が、刺繍やジュエリー、あるいは装飾用として「川真珠」を貴族や教会に多く供給した。やがてヨーロッパ人による探検や交易が広がるにつれ、こうした真珠よりももっと光沢の良いペルシャ湾の海産真珠や、膨大な数のベネズエラ産海産真珠が手に入るようになり、ヨーロッパの淡水真珠は次第にその影が薄くなった。]P80
[ヨーロッパのカワシンジュガイがつくる淡水産真珠はヨーロッパ各国の王室が所有する宝石や王冠、などの装飾に用いられた]P81
以上のような説明から考えて、あえて中世、ルネッサンスの雰囲気を出すように、このパールを選んで使ったのではないかと推測できます。
一点一点、丁寧にジュエリーを作っていた時代は、こんな所まで気を使っていたのす。
ゴールドでセッティングされたルビーとエメラルド、これは中世・バロック期に多く使われた宝石です。
ルネッサンスの頃には、色鮮やかなエナメルが多く使われていたのですが、1594年にコロンビアで鉱山が発見されてから、エメラルドが多用され、エナメルの比率が下がっていったという経緯があるのです。
大まかに言って、エナメルが多用されたルネッサンス期、その後のバロックの時代はエメラルド、ルビー、ダイヤモンドなどの宝石を用いていたというわけです。
私達が普段見慣れている、ジョージアン、ヴィクトリアン、エドワーディアン、そして、アール・ヌーヴォー、アール・デコなどのデザインとは一線を画し、19世紀の人達の中世への憧れを感じる、中々興味深い作品です。
醸し出す雰囲気が、このジュエリーの最大の魅力かもしれませんね。
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■Location/国 ドイツ(推測)
■Period/年代 19世紀後期
■Material/素材 シルバー&ゴールド、エメラルド、ルビー&パール
■Size/サイズ 5.0cm×4.0cm
■Estimate/価格帯 ¥504,000− |
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