葡萄がモチーフのブローチやイヤリングは、この時代に 好んで作られていますが、だいたいは葡萄の実がパールで表現されています。(ヴィクトリア&アルバートムージアムなどにもすばらしいセットが展示されている)
この作品は、ご覧のようにオレンジ色の半透明の コーネリアン(カーネリアン、カルセドニー)を球状にカットして葡萄の実に見立てています。
よく見ると表面にラインが入っていて、よりリアルに表現されおり、とても美味しそうに見えます。
枝の部分はシルバー台にダイヤモンドがセッティングされ、くるっと回った蔓は赤味のあるゴールド、そして葉の部分はややグリーンがかったゴールドに細かな模様を刻んで立体的に表現しています。
19世紀初めのこういった素朴で、優しさ、温かみのあるジュエリーは、ヴィクトリア時代の到来とともに少しずつ姿を消してゆきます。

1830年頃

イギリス