真珠の母貝に聖母マリアを彫り込んだ、透明感のある素晴らしいカメオです。
厚さわずか3mm余りのカメオですが、真珠の母貝の半透明で光を屈折させる特性が、カメオにはっきりとした陰影を作り、尚且つ、聖母マリアに柔らかで優しい表情を与えているのです。
カメオの周りにローズカットのダイヤモンドがプラチナ台にセッティングされ、さらにその外側、側面をワイヤーに通された真円のシードパールが囲んでいます。
このシードパールは上下左右の4点でワイヤーを固定していますが、パールに触れるフレームの側面に(のように丸く溝を作ってあり、パールがその溝に収まり、サイドにずれることのないように工夫されています。 良質のローズカットダイヤモンドは、まるでスターダストが煌く様に瞬いて消えていくような輝き方で、デリケートなカメオの印象を損なうことはありません。
作品全体を被う透明感と優しさのオーラが心の中に染みわたり、心洗われる神聖な作品。
このデリケートなペンダントが100年間、無傷で生き残ってきたという事は、この作品を目の当たりにした人達が、如何にこの作品を大切にしたかということを物語っていると思います。

1905年頃

フランス

直径4.0cm