両取っ手の壷に忘れな草。花の部分はローズカットのダイヤモンドが精巧に埋め込まれています。そして、素晴らしい金の装飾の下に置かれた美しいロイヤルブルーのガラスは、ブリストルグラスと呼ばれるもので、エナメルよりもかなり厚手に作られていて、強い光を当てると、地金に彫り込まれた放射線の模様が浮かび上がって見えます。
左右5本に広がったフープが、アーモンド型のリングを美しく支えていて、リングの裏側は指に沿うように丸くカーブを描いています。

一般的にイギリスのこういったリングでは、モーニングジュエリーとして作られ、リングの裏側にはメモリアルのメッセージや、亡くなった人の命日などが刻まれているのが一般的ですが、このリングには何も碑銘が刻まれていません。
シャンクの裏側にフランスの刻印が打たれている所からも、おそらくこの作品は同年代にフランスで作られた物ではないかと推測されます。
何れにせよ、このリングは品格と威厳が強く感じられるジョーアンの素晴らしい作品です。

18世紀後期

フランス