装飾品としてのカメオの良し悪しを判断する場合に大切なことは何でしょうか。このカメオブローチはどう優れているのか考えてみます。
先ずカメオ自体を見てみましょう。彫りの良さ、サブジェクトの芸術性、顔立ちの美しさなど、このカメオは優れた芸術家が作ったことがすぐに分かります。
それともう一つ注目すべき点は、カメオが彫られている石(積層アゲート)自体がとても不思議で魅力的なものが使われているということです。ベース部分が半透明な白と所々にピンク色が入り、星型に抜けるような模様もみえます。なんとも珍しい不思議な石にカメオが彫り込まれています。

次にフレームを見てみましょう。
ホワイトエナメルが葉を並べたようなデザインに上に盛り上がるように焼き付けられています。先端部分に薄いブルーのグラデーションを付け、濃いブルーの2本の線がポイントされていて、その間には白い丸い玉が並べられた大変凝った作りになっています。こういったエナメル使いはジュリアーノを思い起こさせますが、そう考えますと1870-80年頃に作られた作品と思われます。
このように、このカメオブローチは、石、彫刻、フレームの三拍子揃った逸品であることがお分かりいただけると思います。

19世紀中期−後期

フランス