日本では余り馴染みがありませんが、欧米のお金持ちの人達は、昔から身の回りの小物にも芸術性の高い装飾が施された高価な品物を愛用していました。
置時計、シール、ペーパーナイフ、スナッフボックス、シガーケース、爪の手入れ用のセットなどもあります。
そして20世紀にはいると女性のパーティー用のハンドバックやお化粧用のコンパクト、ライター、シガレットケースなどに、金や宝石をあしらったとても豪華な物が流行します。
こういったものは「object of virtue オブジェ オヴ ヴァーチュ」と呼ばれアンティークジュエリーと同じ業界で扱われています。
写真のシガレットホールダーは1920年頃のVEVER(ベべール)製で、メノウをくりぬ いて作られた作品です。美しいメノウの模様と先端にプラチナで装飾されたダイヤモンドが醸し出すムーディーな香りは、その非日常的な物ゆえに、私たちに憧れを呼び起こすのではないでしょうか。
これはパリのなじみのディーラーから仕入れたものですが、初めて見た時にうっかり買い忘れて、日本に帰ってから悔やんだものです。
3ヵ月後に戻ってみると、ショーウインドーの片隅で僕を待っていてくれました。値段の高いものではありませんが、その時はなんか嬉しくて仕方ありませんでした。オリジナルケースが付いているのも感激です。
こういった世界のイメージは、数年前に大ヒットした映画「タイタニック」をご覧頂ければ良くお分かりいただけると思います。あの映画の時代考察はとても優れていて、使われているジュエリーもちゃんと時代に合ったものが使われているように思います。
初めのシーンでは金庫からノートブックと一緒に、ラリックやジョルジュ・フーケを思わせるプリカジュールエナメルの櫛が出てきます。
そして、パーティーシーンではエドワーディアンやアール・ヌーボースタイルのジュエリーを身に着けた女性たちが登場します。こういうドレスに、このジュエリーはこうやって着ければいいのかと、とても参考になりました。
けしてそこまで豪華でなくてもいいですから、私たちも生活の中にも、ちょっと工夫してオシャレに過ごす時間をもてたら、とても楽しくなるのではないでしょうか。
T.Kuroiwa