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アンティークジュエリーを理解し、楽しんだりする時には、少々の知識と想像力を持ち合わせているとその世界が広がります。
例えば、そのジュエリーが作られた時の流行のファッション。どんな洋服に付けていたのだろうか?と考えると当然、ではどんな場面で付けられたのだろう…と想像しするわけです。そして、どんな家(お城?)に住んでいたのかな→壁にはどんな絵が飾ってあったの? どんな音楽が流れていた? どんな物食べてたの? と、どんどん飛躍していって、ジュエリーを取り巻く環境、その時代をだんだんイメージする事が出来るようになってきます。
「そうか、馬車が走っていて蹄の音がしている。空気は澄んでいて、今よりずっと静かだったんだろうな。当たり前だけどテレビのない生活をしてたんだよな。携帯もパソコンも無いぞ、メールを気にする必要もないしね…」想像を膨らませてみてください。環境がどれ程人々の思考に反映するかを。その時代のジュエリーが作られた根底には、こういったことが随分と関係あるはずです。
例えば、18世紀、19世紀のヨーロッパの人達は、日々何を思って生きていたのでしょうか?
一つ想像できるのは、たとえば、彼らの寿命は現代人よりは遥かに短く、病気や怪我などは今よりずっと深刻だったはずです。今では簡単に直る病気でも、多くの場合において治療できなかったわけで、考えてみれば、死は我々より、ずっと身近な存在だったのです。
そう考えると、人との繋がりや愛情の感覚は、現代人より、遥かにリアルで濃密だったのではないでしょうか。
メメント・モリ memento mori 《汝死を忘れることなかれ》 この言葉を胸に刻んで生 きていたのだと思うのです。
どんなに地位が高くても、お金持ちでも死からは逃れられない。彼らは現代人より、生きている間に多くの死に触れたはずです。ですから、やはり人を愛するという気持ちも、もしかしたら現代人より凝縮(強く深く)していたのではないかと思ってしまうのです。
そう考えると、モーニングジュエリーやセンチメンタルジュエリーと呼ばれる物が、あながち嘘臭い、これ見よがしの物ではなくて、人々の感情の中に必要とされたジュエリーだったように思えてきます。
この辺の感覚は、キリスト教(宗教)を信仰していれば今でも持ち合わしている感情なのではないかと思うのですがどうでしょう。
以前、クリスマス前のロンドンのアンティークショップでジュエリーを探している時に、初老のジェントルマンがそのお店に入ってきました。彼は奥さんにプレゼントする、ジョージアンの リガード【REGARD】 リングかブローチを探していたのです。
長年連れ添った伴侶にリガードジュエリーをプレゼントするなんて、何て素敵なことでしょう!
尊敬し愛する気持ちを素直に表すことが出来る夫婦の関係を築いてきたから、出来るプレゼントなのでしょうね。
ちなみにリガードを始めとする文字遊びのセンチメンタルジュエリーは、19世紀の間続けて作られていますが、そのクオリティーはやはり1830年代までのジョージ王朝時代に作られた物に優れた作品が多いようです。そして特にイギリス人は、相対的にジョージアンのジュエリーを珍重し、優れていると認識しているので、ヴィクトリアンジュエリーよりも人気があるのです。
より時代が古いと言う事もありますが、見栄えのいいヴィクトリアン<ブルジョア的な物>より、クオリティーが高く、その背後に付随する文化や歴史を考えると、ジョージアン<貴族社会から生まれた物>の作品に価値を置くのでしょう。それは、伝統的で正統な物を好むイギリス人の気質を良く表しているように思います。
時代が大きく変わり、生活様式や使う物などが変化しても、脈々と受け継がれている気質、感覚といったものは、(随分と薄れてきているはずですが)根底に残っているのだなと、そのジェントルマンを見て感じたのでした。
さて、当店の名前は リガード です。お客様に"リガード"の想いを込めてアンティークジュエリーをお届けしたいと命名したわけです。そして何時の日か、お客様からも敬愛されるお店になりたい、そう思いながら日々皆様と接しているのです。
余談ですが、皆さんがアンティークジュエリーを選ぶ時に重要な事柄とはどんな事ですか? またどんな所に憧れを抱いているのでしょうか。
ある程度古い物を見て収集していますと、珍しい物がいい作品のように思ってしまうこともありますが、まずは、その時代に人々に好まれた伝統的なスタイルで、コンディションが良く、クオリティーの高い物を手に入れるが先決です。(それにデザインセンスの良さも重要ですね!) まさしく、リガードジュエリーは19世紀という時代を良く表す非常に価値のあるアンティークジュエリーの一つです。物珍しさのプライオリティーは、クオリティーやコンディションの次にあるはずです。
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